ビタミン剤 基礎知識と活用方法 について紹介します。まず、ビタミン剤のビタミンと食品のビタミンとの違いを理解しなければいけません。食品でビタミンを摂る際には、同時にいくつもの種類のビタミンやミネラルを取るので相乗効果が期待でき、実際問題として、そのビタミンの効果も、食品中のビタミンのほうが強いと考えられるのです。
食品のビタミンとビタミン剤は何が違う? ビタミン剤 基礎知識と活用方法
食品に含まれているビタミンも、ビタミン剤に含まれているビタミンも、それ自体を見ればほとんど差違はありません。
化学的に分析しても、同じ物質であることが証明されます。ビタミン自体の効果に違いはないのです(ビタミンE については該当しません。)。
けれども、食品を取るときには、そのビタミンだけを取るわけではありません。
同時にいくつもの種類のビタミンやミネラルを取るので相乗効果が期待でき、実際問題として、そのビタミンの効果も、食品中のビタミンのほうが強いと考えられるのです。
たとえば、豚のレバーを食べると、ビタミンA をはじめ、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC もいっしょに取ることになります。
単に ビタミンA だけを取るより、ビタミンA の効果をアップさせます。しかし、食品中のビタミンは、保存や調理などによって失われる量がどのくらいかわかりにくい、ということがあります。ビタミン剤は、そうした点をうまく補っています。
薬品か食品かは、結局、利用する人しだいですが、どちらにしても、次の 3 点を守るように注意します。
- 表示を確認して、成分や含有量を知っておく。
- 信頼できるメーカーのものを、信頼できる店で買う(ネットで購入もあり)
- できれば、薬剤師や医師など専門家に相談して選ぶ
化学名の表示があるものも
ビタミンC剤の成分表示に「アスコルビン酸」とあったり、E剤に「α-トコフェロール」 とあったりすることがあります。
アスコルビン酸もトコフェロールも、それぞれビタミンCとビタミンEの化学名です。ビタミンには、A 、C などという言い方のほかに化学名があります。
ビタミンの発見当初は、とりあえずアルファベットで名前をつけておき、後に、組成や働きが解明されてから化学名がつけられたものがほとんどのために、こういう形になっています。
まぎらわしいのですが、ビタミンA 、Cなどの呼び方が通称、化学名が本名と考えてください。本書では、特別な必要のないかぎり通称を用いています。通称と本名以下のとおりです。。成分表示などで疑問な点があったときなどに参考にするといいでしょう。
- ビタミンA レチノール
- ビタミンB1 サイアミン
- ビタミンB2 リボフラピン
- ニコチン酸 ナイアシン
- ビタミンB6 ピリドキシン
- ビタミンB12 コバラミン
- 葉酸 プテロイルグルタミン酸
- ビタミンC アスコルビン酸
- ビタミンE トコフェロール
- ビタミンK フィロキノン
ビタミンE剤には「天然型」などの表示があることがあります。トコフェロールには、α、β 、γ、Σなどがあって、そのうち、人間に対して最も効果が高いのはα・トコフェロールです。
市販のビタミン剤は、ほとんどがαトコフェロールですが、製法から、天然、天然型、合成の三3つに大別されます。
天然とは、食物、特に植物油から抽出したものです。ただ、ごく少量しか抽出できないので価格が非常に高くなります。天然型とは、天然のβ体やγ体に化学的に手を加えて、α型と同じょうな物質につくりかえたものです。天然ものよりは安くなります。合成とは、石油などを原料につくったものです。
効果の点からいうと、天然、天然型、合成の順で低くなります。
価格も、同様にこの順で安くなります。表示を見ると、天然と天然型はd-αトコフェロール、合成はdl-α-トコフェロールと表示されているので、その区別ははっきりとわかります。
したがって、ビタミンE剤は、d-α一トコフェロールの含有量が多いものほど効果的ということができます。せっかくビタミン剤でビタミンEを摂取するのでしたらこうした点を考慮するとより効率的に摂取ができます。